今回はブックレビューをお届けします。
なぜ、標準治療を選択せずに自由診療を選んだのか
抗がん剤はしない。でも、自由診療はする。NKT免疫療法、高濃度ビタミンC点滴、サプリと。
なぜ?
私は、叶井さんを亡くなったニュースで知りました。彼が抗がん剤ではなく自由診療を選んでいたことを知り、心がざわつきました。調べていくうちにこの本を見つけ、すぐに購入しました。
届いた本には、「標準治療で治る可能性が少ないので、そちらに賭けることはできないと決めたけど、会社の社長の紹介で自由診療をはじめた。保険のきかない高額な治療費は、すべてくらたまさん(漫画家の奥様)が支払っている」とのことでした。
本人は享受し、家族は提供する
何度か話していますが、父が大腸がんと診断された時、私もサプリメントを購入して父に飲んでもらっていました。医者に確認するとNGだったので、すぐにやめましたが。
逆に、今、自分ががんの治療中ですが、高額なサプリメントを購入して飲もうとは思いません。意味がないとわかっていますし、なんなら、標準治療の邪魔をする可能性もあるので、怖くて飲めないです。そもそも、買い続ける経済力がないのもありますが(笑) (サプリの否定や飲んでいる方を否定するのではなく、私の主観です)
叶井さんとくらたまさんの選択について批判するつもりは全くありません。ただ、「なぜ?」の答えは、奥様に愛されていた証というところに帰着するのではないかと思います。もし叶井さんが一人だったら、本当に何もせずにいたかもしれないなあと感じたもので…。わかりませんけどね。
参考までに、こちらのYouTubeをご覧ください。「絶望から希望へ。希望のために不合理を選ぶ」。
激痛って、すぐに忘れるんだよー心肺停止した中村うさぎさんの体験談
この本は、叶井さんと縁のある方が15人登場して対談しています。
その中で、小説家の中村うさぎさんの言葉に私は思わず膝を打ちました。叶井さんが、「痛いのだけはヤダ」と言う叶井さんへ伝えたのが先ほどの言葉です。
「激痛って、すぐに忘れるんだよ」
中村さんは、心肺停止になったことがあるそうで、その直前は激痛でうなされ、救急搬送されたのですが、本人は、「痛かったということは覚えているが、どのような痛みだったかは忘れている」と話されています。
確かに、私も手術後24時間は、あまりの痛さに1分が1日に感じたほどで、「痛い、痛い」とずっと言っていましたが、今ではその苦痛を思い出すことができません。ママさんたちが出産の際に「陣痛は二度と嫌だ」と言いながらも、二人目を産むことはよくある話ですしね。
くらたまさんが、「どうか痛いのだけは許してあげてください」とお祈りしているところが心に響きました。旦那様を支えるくらたまさんの心痛は、計り知れません。今、くらたまさんと同じようにパートナーさんや親しい友人などの病に心を痛めながらも見守る方がたくさんいらっしゃるのだろうと想像しました。病は、がんだけではないですしね。
15名の死生観、私の死生観
「余命半年と言われた、何をする?」
早くて半年、長くて1年の余命宣告を受けた叶井さんにこの質問を投げかけられた方々の回答も読み応えがありました。それだけでも、この本を買ってよかったと感じました。やはり、人それぞれだなと。
私は、がんと診断された直後、1年後に生きていることが想像できませんでした。そんな私が、何をしてきたかといいますと、標準治療と仕事でした。治療を受けながら、仕事に勤しみ、部屋を整理し、身辺を整え、将来のことを姉に頼みました。高額な葬儀はできないので、一人で過ごすのにぴったりな「お別れ会プラン」を準備してもらいました。
がんになって良かったというのは適切ではないかもしれませんが、何気ないことに感謝の気持ちを持てるように変わりました。朝、目が覚めることは、当たり前ではないことに気が付くことができました。ささやかな幸せを見つけることがちょっとだけ上手になった気がします。毎日を尊く感じていますが、がんにならなければわからずに終わるところでした。そういう意味では、がんになって悪いことばかりではないと思っています。
長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは、みなさまにも質問です。
あなたが余命半年と言われたら、何をしますか?