
「青葉区自費介護」「青葉区介護保険外サービス」という言葉を目にすると、現代の便利で選択肢豊かな介護サービスを思い浮かべる方も多いかもしれません。
でも、介護の本質は、時代を超えて人の想いと共にあるものだと改めて感じさせてくれたのが、朝井まかてさんの小説『銀の猫』でした。
物語の舞台は江戸時代。70代、80代はもちろん、100歳を超える長寿の人もいたという時代背景の中で、介護を担う人たちが描かれています。当時、今でいう「介護士」は「介抱人」と呼ばれ、その道のプロとして高齢者のケアに携わっていたそうです。
この「介抱人」の生き方には、私が今させていただいているお仕事との共通点を感じています。技術や制度だけでは語れない、介護の“心”の部分を、この小説は鮮やかに教えてくれているような気がしました。
介護は人のためならず──介護は、未来の自分への贈り物
『銀の猫』を読み進める中で、何度も胸に迫ったのは、それぞれの立場の人々の心の声が、丁寧に丁寧に言葉にされていたことです。
介護される側、介護する側、そしてその家族やご近所さん。誰もが迷い、悩み、でもどこかで「これでいいのかな」と自分に問いながら過ごしている。その姿に、現代の私たちも深く共感できるのではないでしょうか。
私自身、介護の現場に長く関わってきた中で、切なさや無力感に押しつぶされそうになったこともあります。でも、情けは人の為ならずの教訓より「介護は人の為ならず」という言葉を信じて歩んできました。
人に手を差し伸べることは、めぐりめぐって自分を癒し、未来の自分を支えてくれる──そんな思いを、この本はそっと思い出させてくれます。
「ぽっくりも、ゆっくりも、大往生」──看取りへのまなざし
印象的だったのは、「ぽっくりもゆっくりも大往生」という言葉。病気や事故で突然亡くなる「ぽっくり」を理想とする人もいますが、ゆっくりと衰えていく老衰も、立派な人生の幕引きだと、この小説は教えてくれます。
『銀の猫』は、介護に行き詰まってしまった方、あるいはこれから介護を迎えるかもしれないすべての方におすすめしたい一冊です。
どんな時代も、介護は人が人を思いやる営み。その本質を忘れず、青葉区でも、自分らしい介護を選べる地域でありたいと心から願いつつ、まずは、自分でできることから始めたいと思います。
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