調剤薬局勤務の登録販売者コニーさんによる不定期更新の記事です。今回は、おくすりの一包化についてです。
以前伺ったお客様が、お薬の管理で大変な思いをされていました。そこではじめて「一包化を知らない方がいらっしゃる」ということに気が付きました。みなさまは、薬の一包化を、上手に活用できていますか?
調剤薬局勤務の登録販売者コニーです。
第3回目は、お薬の「一包化」についてです。
1回の服用忘れが体調に大きく影響してしまう薬を飲まれている方で、年齢的に管理しきれないなど服薬に不安のある方におススメです。
薬の一包化とは?
薬の一包化とは、簡単に言いますと、複数の薬を一つの袋にまとめる調剤方法のことです。基本的には料金がかかりますが、条件がそろえば、保険診療で行えます。
薬の一包化が保険診療になる条件
◇保険診療になる条件
- 手や目に不自由があり、袋や包装から薬剤を取り出すことが出来ない。
- 薬が多くて飲み間違えや飲み忘れをしてしまう。薬の管理が困難。
医師が処方箋に【一包化】【分包】と指示を入れる。または、薬剤師が、患者さんが服用できていないと判断した場合は医師へ許可を求め指示を出してもらうと保険診療となります。
薬の一包化が保険診療外(自費)になるケース
自費のケースで依頼される例を2つあげます。
1.自立されている方の薬
もともと飲んでいる泌尿器科の薬が家にあり、今回内科受診することになった。合わせたら服用のタイミングが違い、量も増えてしまい混乱しそうだ。家にある薬と今回の薬を一包化してほしい。というケース。
※ただし、医師の許可が得られれば保険診療に切り替わる場合もあります。
2.施設の方に頼まれた場合
デイサービスに通うことになった。昼食後の服用を施設にお願いしたら、その分のみ一包化してきたら飲ませることができると言われた。
※介護士は、「飲みましたか?」と促すまでしかできません。『参考:服薬のポイント!医療行為とのボーダーラインとは?-レバウェル介護https://job.kiracare.jp/note/article/1883/』
薬を一包化する時の注意点
投薬時間が長い
薬の一包化は、薬局で薬を個別に包装し、分包機で袋詰めする作業です。通常の15分でできる作業が1時間以上かかることもあります。薬局の設備や薬剤師の人数により時間差がありますが、一人薬剤師の場合は他の患者さんをお待たせすることになります。薬剤師は、慎重に慎重を重ね、ミスが大きな問題になるため作業は集中を要します。
そのため、薬の一包化を依頼する時は、余裕を持った受診と投薬までの時間を考慮していただければと思います。
一包化できない薬がある
これまで、薬の一包化についてお話ししてきましたが、一包化できない一包化禁止の薬剤や、向いていない薬剤があります。
それは、以下の通りです。
◇一包化禁止や向いていない薬剤
・湿気に弱い
・遮光保存が義務づけられている
・抗がん剤
・第1種と第2種の向精神薬
・免疫抑制剤
・麻薬
・毒薬
・覚醒剤
・下剤
・眠剤
・他薬剤に着色してしまう恐れのある薬剤
・抗ウィルス剤
相談に乗ってもらえる場合もあるので、まずは、窓口でご相談ください。
薬の一包化の金額はいくら?
◎外来服薬支援料2
保険診療による薬剤の一包化を「外来服薬支援料2」と言います。
◇点数
42日分以下の場合 …… 投与日数が7日毎。その端数を増すごとに34点。
例:
15日分の場合……7日+7日で14日。さらに1日足すと15日。34点+34点+34点=102点
43日分以上の場合 …… 240点
◇金額
43日分の3割負担なら720円
43日分 240点×10円=2400円(1点10円)。3割負担720円、2割負担480円、1割負担240円
◎外来服薬支援料1
既に投薬してある薬剤(他薬局から処方してもらったものでも可)を本人や家族からの申し出により、薬剤師が一包化の必要があると判断し、医師の了承を得た場合の加算を「外来服薬支援料1」と言います。
◇点数
185点
◇金額
3割負担なら560円
185点×10円=1850円。3割負担560円、2割負担370円、1割負担190円
※外来服薬支援料1の一包化は、薬剤師の判断が大きく影響します。自費になるケースもありますので、まずは薬剤師に相談してください。
※外来服薬支援料1は、「ブラウンバッグ運動」というアメリカで始まった薬剤管理を適正化する取り組みに大きく関係しています。これについては、次回の記事でご紹介します。
薬の一包化はかかりつけ薬局へ
初めて行く薬局で、いきなり薬を持ち込んで、「整理してください」と言われても、薬剤師は困惑します。
日頃から薬局は一カ所にまとめて処方してもらっておくと、他の薬の服薬状況も気にしているので、話は早いです。
「最近、血圧が上がり気味で…」と眼科の薬をもらいに行った際に話しておけば
「降圧剤はきちんと飲めていますか?」
「それが、似たようなパッケージの薬があるので、ついつい見逃しちゃって。」
なんて話ができたら安心じゃないですか?
あるいは、同居のため実家から母を呼び寄せた場合など、かかりつけ薬局が近所にない場合があります。その時は、必ずお薬手帳を持って、できるだけ早目にこれから通う病院に受診して、今後服用する処方を確定してもらう必要があります。その上で、以前の薬を持ち込んでいただければ、相談に応じることができます。
服薬の管理が大変だなと思ったら、まずは、医師か薬剤師に相談しましょう。
以上今回は、薬の一包化について詳しくお話しいたしました。
次回は、先ほどご紹介しました「ブラウンバッグ運動」についてお話したいと思います。
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驚きました。薬の一包化が有料とは知っていましたが、「保険診療」とは知りませんでした。勉強になりますね~。次回は、「ブラウンバッグ運動」という気になるワードが出てきました。みなで一緒に学びましょう~!
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