調剤薬局勤務の登録販売者コニーさんによる不定期更新の記事です。今回は、残薬についてのお話しです。

私もお客様のお家で、大量のお薬を何度も目にしています。あなたのご両親は大丈夫ですか?


登録販売者で薬局事務をしているコニーです。

今回は、ご自宅で余ってしまっているお薬のことについてお話ししたいと思います。

ブラウンバッグ運動とは

「ブラウンバッグ運動」とは、簡単にいいますと、家にある残薬を解消しましょうという運動です。

とっても残念な話しなのですが、お薬の飲み忘れがあり、まだ自宅に残っているが、次も通常通りの日数で処方され、大量に残り、ため込んでしまい最終的には破棄されている方が多いというのが現状です。

これは日本だけに留まらず世界各地に起こっているのです。

1980年。「ブラウンバッグ運動」は、アメリカで始まりました。患者様が所持している医薬品を普段買い物で使っている茶色い紙袋に入れて持参し(映画に出てくるバケットがはみ出しているあの茶色いバッグですね)、薬剤師がチェックし適正使用を勧める取り組みです。

日本では「残薬バッグ」や「節薬バッグ」という名前で呼ばれることが多いです。

厚生労働省は、2016年にこの「ブラウンバッグ運動」について明記しました

患者様へ投薬の際に、「残薬はありますか」と訊いてみますと、

「お昼が飲み忘れが多くて」とか、「朝食後のお薬ですが、朝食を抜いてしまうことが多くて」

など、生活スタイルに合っていない用法のために飲み忘れがあったりします。

朝食後であっても、実際は起床直後に飲んでも問題がないお薬もあります。お昼分は朝や夜に振り分けても大丈夫なものもあります。

基本的には医師が判断して用法を決めているので、夕食直後を推奨しているお薬を夕食後(食後30分)にしても大丈夫なこともあります。

ご相談いただけると、一緒に考えることが出来ますし、内容によっては医師に疑義照会して変更できることもあると思います。

では、なぜ日本でこのブラウンバッグ運動が浸透しないのでしょうか。

ブラウンバッグ運動が浸透しない理由

1.公費や高額医療が手厚い

医療費。

6歳までは2割負担。

69歳までは3割負担。

70歳から74歳までは原則2割負担。

75歳以上は原則1割負担となっております。

ただし、収入が一定を超えていると、70歳を越えても3割負担となっております。

2023年より「子ども医療費助成受給券」は中学卒業までから高校生相当年齢まで引き上げられました。

そのため、薬局では負担額が無料となるご家庭が増えました。

そうすると悲しい話がちらほら出てきます。

以前書きましたが、「おくすり手帳」を忘れると3割負担の方で40円多く負担金をお願いすることになります。

しかし、子ども医療費助成受給券があれば無料となるので、

「支払いがないから、手帳忘れでいいです。」

と言われます。

おくすり手帳の有無で14点の差ができ、金額は140円となります。

負担金が0円ということは、国が100円、市が40円負担することになり、みなさんから徴収した税金で補填されるのです。

余っていて邪魔になって捨ててしまっているお薬も、

「自宅に10日分余っています。」

と医師に伝えていただき、処方日数を残薬調整してもらうことで、医療費は削減されていくのです。

薬局でも「残薬調整」は出来ます。

病院へ疑義照会し、医師の許可をもらい、残薬と今回のお薬の数を計算して、次回の受診日に合わせて投薬します。

ただ、薬局で残薬調整を行うと「重複投薬・相互作用等防止加算」が30点加算されます。

病院で行うと、料金はかかりません。医師に相談できるのが一番いいですね。

2.日本人特有の真面目さ

真面目さ?と思いますよね。

年齢が上にいけばいくほど出てくるのですが、医師から不真面目に思われたくないという心理なんです。

「あなたは〇〇歳になっても服薬も管理できないのですか?」

医師にそう思われていたら恥ずかしいと思ってはいませんか?

「劇的に良くならないのは、自分がちょこちょこ飲み忘れをしてしまうから」

と罪悪感でいませんか?

でも、不真面目なのではないのですよ。

冒頭でも書きました通り、生活スタイルに合っていない可能性が高いのです。

夜勤が多い人。夜明け前から働く人。シフト制でいつも同じ時間に食事が摂れない人。

なのに、用法は起床時・朝・昼・夕・就寝前と5つのタイミングで分けています。

なぜ起床時?なぜ就寝前?なぜ?が分かれば、飲むのに最適なタイミングが見えてきます。

それが変わらなければ、飲み忘れ・飲みそびれは減りません。

医師の顔色が変わるのは怖いから、相談しにくいという方も多いです。

診察は30秒だったから言うタイミングがなかったという人もいます。

そういう方は薬局に相談してくださいね。

3.どれが何の薬か分からなくなっている

以前は先発品で統一されていましたが、年々後発品(ジェネリック薬品)が増えてきています。

薬局は厚生労働省の指導の基、ジェネッリックを推奨する義務があります。

お薬によって、先発品かジェネリックかでは薬価が半分になるものもあります。

アレルギー用の点鼻薬は先発品が1950円、ジェネリックでは950円というものもあります。

3割負担の方で300円も差がでてしまうのです。

でも、実は同じ会社が作っているオーソライズジェネリック(AG薬と呼ばれています)があります。

名前がジェネリックというだけでこの差は勿体ない。

ということでジェネリックをお勧めするのですが、一方では「これとそれが同じ薬」というのが段々と分からなくなって、新しく処方されたほうを飲んでいるということもあります。

そんなときにブラウンバッグです。

全部ごそっと袋に入れて持ってきてください。受診日より前の方がいいです。

薬局で必死に数えます(笑)

その代わり、ちょっとお時間くださいね。

できれば半日とか1日とかいただけると助かります。

ブラウンバッグ運動参加手順

  • 飲み忘れてしまう理由を考えてメモ書きする
  • どの薬が何個残っているのか数える
  • 医師に相談する
  • 医師に相談できないときは薬局に相談する

お財布に優しいブラウンバッグ運動。

一緒に参加してみませんか。


本当に! 前に勤務していた施設でも大量の薬が余っていました。内服薬だけではなく、「塗り薬」や「湿布」なども。定期便になっているのか、残りも確認しないで受診のたびに処方されていたのです。医療費削減は、お財布にも日本にもやさしいのですね。

あなたのお家に、余っている薬はありませんか?

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