こんにちは、横浜市青葉区を中心に自費介護(介護保険外サービス)を提供している「ソロウェる」の矢島です。
日々、施設にいる大切なご家族を想い、面会や手続きに奔走されている皆さま、本当にお疲れ様です。
先日、とあるX(旧Twitter)の投稿動画が大きく拡散されているのを目にしました。車道に出てしまった高齢者を引き戻そうとした方が、その高齢者に叩かれている数十秒の映像です。ネット上ではそれを見て「認知症は怖い」「安楽死を導入すべきだ」といった極端な言葉が一瞬で広がっています。
しかし、現場を知る介護のプロとして、私はこの「一方的な切り取りと決めつけ」に強い恐れと違和感を抱いています。
そもそも、ご本人の顔を隠さずにネットに晒す行為は重大なプライバシー侵害です。また、映っている方が本当に介護士かどうかも含め、そこに至るまでの背景や前後の文脈は一切分かりません。
さらに地域性や技術的な視点で見ても、ここ青葉区であれば、これほど危険な状態になる手前で、安全に配慮した外出同行や事前の環境整備を行うのが基本です。映像の方の動きを見ると、初めて叩かれたような反応ではなく、どこか「慣れている」ようにも見え、日常的な関係性の中に別の課題が隠れている可能性すら感じさせます。
このように、たった一つの切り取られた映像だけで「認知症が悪い」「本人の性格が先鋭化したせいだ」と結論を急ぎ、偏見を強めてしまうのはとても恐ろしいことです。
「施設に入所してから、急に暴力を振るうようになった」 「スタッフの方から、お母様が職員を叩きました、と告げられた」
そんなとき、ご家族の立場、そして現場で葛藤する施設ヘルパーの立場——それぞれの視点に深く寄り添ってみると、病気や性格だけではない「別の真実」が見えてきます。
1. ご家族の視点:「私の知っている優しい親が、なぜ」という深い傷と罪悪感
スタッフから「お父様が暴力を…」と言われたとき、ご家族が受けるショックは計り知れません。
「今まで家族に対して、一度も手を上げるような人ではなかったのに」 「施設に預けてしまったという、私たちの罪悪感が親を荒れさせているのだろうか」 「施設に迷惑をかけて申し訳ない。もうこれ以上、何をどうすればいいのか分からない」
そうやって、自分を責め、孤独な痛みを抱え込んでしまうご家族を、私はたくさん見てきました。 どうか、ショックを受けないでください。そして、自分たちを責めないでください。
その「暴力」と呼ばれる行為は、ご本人の性格が変わってしまったわけでも、ご家族の選択が間違っていたからでもありません。言葉でうまく伝えられないご本人の、必死の「助けて」「苦しい」という心の叫び(SOS)かもしれないのです。
2. 施設ヘルパーの視点:自己犠牲と、仕組み化されていない現場での限界
一方で、現場で日々向き合う施設スタッフの視点にも、目を向ける必要があります。
介護現場では、基本的には心優しいスタッフが多く、その多くが自己犠牲と強い責任感の精神のもとで一生懸命働いています。
しかし、現在の日本の介護現場は、生産性の悪さ、仕組み化されていない業務内容、膨大な記録業務、あるいは過剰な介護など、仕組みの課題が山積みです。
心にも時間にも余裕をなくし、燃え尽きそうになりながらワンオペ夜勤をこなすスタッフ。そんなとき、丁寧な対話や、ご本人のペースに合わせた関わり(生活支援サービス)をする余裕を失ってしまうことがあります。
効率を最優先した機械的な声かけや、ご本人の意思を無視した身体ケアになってしまったとき——不穏な空気が生まれ、ご本人の「防衛本能」としての抵抗(暴力)が引き出されてしまうことが、明らかに存在するのです。
特に大変な荒れっぷりの日には、「今日の夜勤者(担当者)は誰だな」と分かってしまうレベルで、関わり方の質が影響しているケースも少なくありません。
スタッフもまた、悪気があるわけではなく、過酷な仕組みの中で限界を迎えている一人の人間なのです。
3. 「他のスタッフの話」と「私の肌感覚」は一致しない
以前、ある施設で「ものすごい暴力行為があり、ご家族からも毎日クレームが来ている」と言われている利用者様から、私をご指名(生活支援サービス)いただく機会がありました。
周囲のスタッフからは身構えるように言われましたが、実際に私が一対一のパーソナルヘルパーとして関わらせていただいたところ、その方は全く暴力を振るわなかったのです。
認知症の症状も軽度で、丁寧にお話しをすればすべて理解してくださる方でした。私を信頼してくださり、お部屋の整理や荷物の準備、更衣介助などの生活支援サービスをいつも通りスムーズに行わせていただけたのです。
「施設側の評価(暴力を振るう人)」と「目の前のその方の真実」は、必ずしも一致しません。「認知症だから」「性格が先鋭化したから」という偏見のフィルターを外し、一人の人間として実直に誠実に向き合うことで、頑なだった心が驚くほど穏やかになる瞬間を、私は何度も肌感覚で体験してきました。
4. 学ぶことで、みんながやさしくなれる。後悔のない介護のために
私は過去にがんを経験しました。その時に痛感したのは「病気について、正しく学ぶこと」の必要性です。介護も、全く同じだと信じています。
ネットの切り取り動画を見て「認知症が悪い」と片付けるのではなく、ご本人の行動の背景にある理由(体調不良、ケアへの不満、不安など)を正しく学ぶこと。そして現場の仕組みを変えていくこと。そうすれば、ご家族も、施設のスタッフも、何よりご本人様にとって穏やかな時間になるのではないでしょうか。
もし今、ご両親が「施設に迷惑をかけているのではないか」と悩んでいるなら、どうか、今より数回多く、施設へ面会に通ってみてください。
スタッフに少しでもいいので、労いの言葉をかけてあげてください。言いたいこともたくさんあるでしょう。10個あるうちの1個だけにしてみてください。現場のギスギスした空気が、少し和らぐようになりませんか。
そして、医師や看護師、何よりご本人とよく話し、たまには車椅子での短い外出同行を頼んで外の空気を吸い、「私たちはいつもあなたを想っているよ」と伝えてあげる。会えなければ、電話一本でも構いません。
その小さな一歩の積み重ねが、ご家族にとっての「後悔のない介護」へと繋がりやさしい環境を作ることでしょう。施設のスタッフは、家族の代わりにはなれないのです。
一緒に、できることをしましょう
偉そうなことを言っていますが、実は私自身、実の母にはこれが完璧にできているわけではありません(笑)。幼少期からの確執という言い訳もあり、日々悩み、葛藤しながらのスタートです。それでも、プロとして、そして一人の娘として、自分ができる限りのことをしていこうと思っています。
一人で抱え込まず、偏見や罪悪感の枠を外して、できることから一緒に始めませんか?
横浜市青葉区近郊での施設面会への外出同行や、お部屋の環境整備、ご家族の代わりに寄り添う介護保険外サービスをお探しの方は、いつでもソロウェるにご相談ください。あなたの「後悔のない介護」を全力でサポートさせていただきます。









